徹夜本と映画で現実逃避!

現実逃避して、しばし嫌な事忘れましょ!

「昆虫はすごい」なんてもんぢゃないです!!!!・・・・(昆虫はすごい/丸山 宗利)

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題名どおり、昆虫はすごい!というよりそれを通り越して、とんでもないです。(笑)

彼らの種を残すための行動というのは、我々人間の人口減の緩和などとは正直比べものにはなりません。勿論、筆者も本作の中で述べているように、昆虫の本能的な行動と、人間の学習による行動では意味は異なるものの、これでもか、これでもか!という彼らの生態を知る程に、いろいろと見習うところがあるのではないか?と思ってしまいました・・・。

これは、そんな彼らの生き様というか繁殖本能を面白おかしく、極めて真面目に取り上げた本です。

どんなことが書いてあるかというと、

一部の植物は虫に葉っぱを齧られると有毒物質を出すらしいのですが、それを虫は察して、葉っぱの真ん中を丸くくりぬいて、予め有毒物質が流れてくる管を斬ってしまい、ゆっくり、そのくりぬいた部分を食べるだとか、植物に潜り込んで、なんらかの刺激を与えることによって、自分が潜り込んだところに、栄養たっぷりの実をならせて、独り占めする。捕獲した虫に麻酔もどきのようなものを注入し、それに卵を産みつけて、孵った幼虫が常にフレッシュな餌を食べられるようにする。雌に自分が捕獲した餌をプレゼントして、雌がそれに気を取られているうちに交尾してしまう。同性愛や自爆テロ奴隷制、体乗っ取り、摂氏100℃のおならをしたり、雌と雄が逆転(雌に陰茎のようなものがあり、雄の精子を吸い取る!)、なんと個体と陰茎の大きさの関係性なんて男子なら結構気になることまで(笑)、とにかく、もうなんでもありで、そんな、同じ生き物として、相当びっくりするようなことが、この作品にはぎっしり詰まっています。

自分はその中でも擬態(全く異なる種類の昆虫や植物に、外観がそっくりと言うやつです。)の項に魅せられてしまい、繰り返し読んでしまいました。(笑) 

昆虫が苦手な方には、ちょっと敷居は高いかもしれませんが、本作には全く異なる世界が広がっていますので、是非覗いて見て下さい。目からウロコが落ちる(虫が愛おしく見えてくる!?)かもしれませんよ。もちろん保証はできませんけど・・・(笑) 

 

いつから日本はこんなに救いがない国になってしまったのだろうか・・・(東電OL症候群/佐野 眞一)

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1997年に円山町のボロアパートで不幸にも殺害されてしまった東京電力女性社員。超スーパーエリートでありながら、夜な夜な円山町の路上で売春をしていたことが、事件後に判り、マスコミを賑わせたのは未だ記憶に新しい。 

明らかに女性は心身を病んでいたと思われるもの、同僚、家族さえ、その事実(夜の街で客引きをしていたことを含めて)を知りながら助けることができなかった。と言うよりは、同僚は出世競争の為、家族は腫れ物に触りたく無い為、敢えて何もしなかった・・・。 

その結果、彼女は亡くなってしまった。 

あまりにも世間の関心が高く、犯人探しに焦る警視庁と東京地検。その結果、逮捕された一人のネパール人。彼は不法滞在だったことや、実際に過去に彼女を買春していたにも関わらず、面識はないと偽っていたことから、立証できる実際の証拠なし、状況証拠のみという異常な状態で裁判に掛けられ、一審では無罪となるものの、控訴審で有罪、上告も棄却され、判決(無期懲役)が確定。

その間にも、無罪判決を言い渡した裁判官が、地方に飛ばされたり、保釈を却下した裁判官が児童買春で罷免されたり、兎に角「???」という事が多々おきます。 

著者は、この事件を「ネパールとの経済と言う力関係を背景とした日本の傲慢さ、性、権力、親子・家族関係、組織vs個人」などの観点から深くえぐって行きます。

 

読了後、非常にやるせない気持ちになりました・・・。

こういう世の中だから、些細なことで道を踏み外して戻れなくなってしまうってことって、きっとありますよね・・・。純粋だったら尚更に・・・。皆、そういう自身の暗い面に時に引きずりこまれそうになりながらも、なんとか頑張って踏みとどまっているのだから、やっぱりこういう話を読むと悲しいし辛いです。 

ネパール人の方は、最後は再審が認められ、15年掛かって無罪となり冤罪が確定するのですが、なんだか最近の日本って全てにおいて救いがないですよね・・・。そのうちに、加害者は結局誰だか解らない、犠牲者ばかりがいる国になってしまう気がします。 

東電OL症候群(シンドローム) (新潮文庫)

東電OL症候群(シンドローム) (新潮文庫)

 

 

 

アメリカと言う国は、未だに戦争の英雄が生まれる国である。(ホース・ソルジャー)

ホース・ソルジャー(字幕版)

ホース・ソルジャー(字幕版)

マイティソーのクリス・ヘムズワース主演の戦争映画です。

日本ではあまり馴染はないですが、同時多発テロを受けた米国が反撃をすることを決めた際に一番早く、アフガニスタン入りし、アルカイダの拠点と言われていたマザーリシャリーフを制圧したグリーンベレー部隊(12名で正式な部隊名はODA595/Operational Detachment-Alpha595)のことを描いている作品です。その部隊のリーダーである大尉役を、クリス・ヘムズワースが演じています。 

最新の設備を持って現地入りした彼らを待っていた移動手段は、非常に複雑な地形を考えると、馬が一番適しているということで、なんと馬。乗馬経験は実家が牧場の大尉のみで、後は全員素人。ちなみに米軍が馬に乗って、戦闘をしたのは1942年以来の事だそうです。しかもアフガニスタンの馬は気性が荒いことで有名とのこと。

そういった背景がある、結構シリアスな作品の筈なのですが、お話は、結構「イケイケどんどん」で、皆、最前線に突っ込む突っ込む。正直これでよく死なないなぁ、というレベルの突撃で、そこはやっぱり事実を元にはしてはいるけど、相当脚色したお話なんだろうなぁ、という印象を受けました。但し、逆にお話として考えれば、それなりに面白く、手に汗握る展開の勧善懲悪の男の世界が広がっていると解釈できないこともないです。 

ちなみにグランドゼロには彼らの功績を称えて、銅像が建てられているそうです。うーん、未だに戦争の英雄と言うのが生まれるアメリカには驚かされますが、日本が平和ぼけしているだけなのかもしれませんね・・・。

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