読むのが辛かったです・・・。(敷島隊の5人/森史朗)
同じ神風特攻隊(正しくは「しんぷう特別攻撃隊」と言うそうです。)を描いた作品として、百田尚樹氏の「永遠のゼロ」が表なら、これは裏という人がいるかもしれません。しかしながら、紛れもなくこちらが表です。百田氏の同作品は自分もとても感銘を受けて、大好きな一冊となりましたが、所詮は小説であり、創られた物語です。それに比して、こちらの森史朗氏の作品には真実があります。
戦後、神風特攻隊という極めて異常な状況を作り出したのは誰だったのか?という調査に対して、生き残った殆どの将官は責任を既に亡くなった人に被せ、もしくは命令だったということを隠れ蓑にして逃げまくった、という事を自分は恥ずかしながら知りませんでした。これまでは、「兵学校を出たスーパーエリート達は常に国を憂い、部下を泣く泣く死なせた責任を深く感じ、殆どの人が潔く自決及び戦死。恥を忍んで生き残った人々は生涯、慰霊に尽くした。」という極めて貧しいイメージしか持っていなかったのですが、所詮人間は、いつの時代も変わらない・・・。今更ながら、必ずしも偉い人=立派な人ではない、と当たり前のことを思い知らされました。
お国に尽くした軍神と祭り上げられたと思いきや、戦後は戦争犯罪人扱いされ、本人だけでなく、残された家族も過酷な運命に巻き込んだ神風特攻隊。1ページ、1ページが非常に重く、本当に読み進めるのが辛かったのですが、若くして散らなければならなかった敷島隊の5人を知りたいという探究心と、この本は必ず最後まで読まなくては・・・という不思議な義務感?でなんとか読み終えました。
戦争という異常な状況下、弱い人間に対して、誰が悪いというのは酷なのかもしれません。そういった意味でも戦争とは無縁でいたいと強く願わずにはいられませんでした・・・。
本作は、確実に歴史に残るというか残さなければならない一冊だと思います。
敷島隊の五人―海軍大尉関行男の生涯 (上) (文春文庫) | ||||
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敷島隊の五人―海軍大尉関行男の生涯 (下) (文春文庫) | ||||
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