男泣きに泣きました・・・(影法師/百田尚樹)
江戸時代を生きた二人の侍の崇高で清貧な友情を描いた作品です。
歯に衣を着せない発言で、最近物議を醸している百田先生ですが、自分が氏の作品で一番好きなのが当作品です。「永遠のゼロ」もとっても良かったのですが、こちらの方が自分の感覚には合っていたようで、最後は男泣きに泣きました・・・。本作は、まさに百田尚樹の「壬生義士伝」と言っても過言ではないです。
この作品を発表した頃までは、先生は純粋にエンタメ小説をお書きになっていたのですが、どこかで、「このままでは日本はいかん!」と発奮なさって、今現在は皆様ご存知の通りの状況になっています。正確に言うと、たかじんさん(因みに、やしきたかじん/自分の中では伝説の男です。この人は兎に角もの凄いです・・・。)の晩年を描いた作品「殉愛」あたりから、世間から物言いが着き始めたイメージですね・・・。
もちろん百田先生の人生ですので、問題はありませんし、自分が文句を言う筋合いなどはないのも十分理解していますが、これだけのストーリーテラーである氏が、現在のような方向性に向かってしまうのは、残念で仕方がありません・・・。氏にはもっともっと、こういう美しいエンタメ小説を書いて欲しいです・・・。(泣)
最後に蛇足ですが、何故か?この本には袋とじがついており、おっさんの習性でワクワクしながら開けてしまったのですが、あれ必要だったかなぁ。(笑)