徹夜本と映画で現実逃避!

現実逃避して、しばし嫌な事忘れましょ!

まだ2月の初めだというのに、今年最高の1冊となるかもしれない作品に出会ってしまいました・・・。 (シャドウ・ダイバー/ロバート・カーソン)

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シャドウ・ダイバー 下―深海に眠るUボートの謎を解き明かした男たち (ハヤカワ文庫 NF 341)

早くも出会ってしまったかもしれません・・・。

まだ2月の初めだというのに、今年最高の1冊となるかもしれない作品に・・・。 

シャドウ・ダイバー (ロバート・カーソン

アメリカのニュージャージー州沖で、第二次大戦で連合国を恐怖に陥れたドイツのUボートの残骸を発見した、レック(wreck/沈没船)ダイバー達のお話です。

 主人公のジョン・チャタトンは友人がひょんな事から入手した緯度経度を元に、沈没船が存在すると思われる場所に向かいます。場所は米東海岸のニュージャージ冲約100キロ。

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海底探知機により、問題の沈没船は水深70m~80mの場所で、通常の人間では到底到達できない深度にある事が判ります。超一流のレックダイバーのチャタトンにとっても当時はほぼ限界の数値です。

80キロの装備を背負い、寒さ、視界の悪さ、狭さ、天候、一歩間違えばすぐにあちら側に行ってしまう、常に死と隣り合わせの状況で、窒素酔いと闘い、冷静さを保ちながらわずか25分間潜り、1時間の減圧をしながら、船上に戻る。船上で体内窒素を2~3時間かけて抜いて、再度潜る。コンデションが良い場合で一日最大2本。賞味50分間で必要な調査をしなければなりません。そんな過酷な状況下で、チャタトンは沈んでいる船がUボートであると確信します。彼のUボートへのアプローチは凄まじさを増します。シカゴ科学産業博物館に展示してあるUボートを実際に見に行き、内部に入るツアーに幾度なく参加し、イメトレしながら、潜る計画を頭に叩き込み始めます。

しかしながら、沈んでいるUボートから製造番号は愚か、船体番号をも見つけることができません・・・。また、米海軍、ドイツ軍の記録を幾ら辿っても、当時そこの海域で撃沈されたUボートの記録は見つかりません。手がかりとして、見つけられたのは、わずかに1942年という年号と鷲と鉤十字章がついた皿一枚、及び取っ手にホーレンブルグと彫ってあるナイフのみ。歴史はそのUボートの存在を拒絶し続けます。

不幸な事故も起き、焦燥感に苛まれるチャタトン。それを、昔は犬猿の仲であったにもかかわらず、今回のUボートの発見で一緒に潜ることになり、結果的に親友となったリッチー・コーラーが奮い立たせます。 

あまりにも手がかりが無い為、実はヒットラーが逃走用に使ったUボートでは?などという、突飛な意見も出てきますが、多大な犠牲を払いながらも最終的には彼らは目指していたものを見つけます。 

ダイビングを齧ったことのある、自分には、レベルこそ大きく異なれど、海の怖さとか、脅威が、手に取るように判り、彼らが潜る時は、自分も息苦しくなり、心拍がドンドン上がる、まさに、そんな経験をさせてくれる本当に最高の一冊でした。

本作は鉄壁の徹夜本です!

原作があまりにも、魅力的な為、幾度も映画化の話は出ているようですが、今まで実現せずに終わっているようです。

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