徹夜本と映画で現実逃避!

現実逃避して、しばし嫌な事忘れましょ!

日本は本当にいい国なのだろうか?・・・(日本を捨てた男たち/水谷 竹秀)

日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」 (集英社文庫)

「困窮邦人」

自分の意志で海外に出かけ、そのまま文無しになり、帰国ができなくなっている日本人の事を指すそうです。

そんな言葉があることをこれまで知りませんでした。

この本を読むまで自分は、海外へ渡航し、帰国しない(できない)人は、日本国内で、犯罪とか、借金とか、いろいろ訳ありで、自身の意志で逃亡出国、犯罪人引渡し条約を締結していない向こうの国で、そこそこ楽しくやっているんだろうなぁ、程度の認識しかありませんでした。(何故か日本との間で犯罪人引渡し条約を締結しているのは,アメリカと韓国の2カ国のみとのこと。これは他国と比べると極端に少ないそうです・・・。ちなみに米英は110カ国とのこと・・・。) 

本作によると、2010年に在外公館に駆け込んで援護を求めて来た困窮邦人の総数は768人。フィリピンが332人と最も多く、2位のタイ92人を3倍以上引き離しているそうです。フィリピンは2001年から10年連続で最多、数字だけ見るとフィリピンだけで全体の43%を占めているとのこと。

著者は、何故フィリピンに困窮邦人が多いのか?どうして、このような状況になっているのかを、実際に多くの困窮邦人に取材することで、鋭く抉って行きます。

そして、最終的に「彼らが捨てられたのではなく、実は日本が捨てられたのかもしれない?」という疑問に行き着きます・・・。

 

物質的には比類のないくらい裕福になった日本。そのトレードオフで何を失ってしまったのでしょうか? 

自分は本作を「明日は我が身」と、所々暗い気持ちになりながら読んでしまいましたが、これから読む方には、敢えて本作を、その部分ではなく、どんな人達でも受け入れてくれる、フィリピンのもしくはフィリピン人の素晴らしさを紹介した本と捉えてくれればと思っています。 

しかしながら、そんな素晴らしい国フィリピンも、徐々にお金という毒に汚染され、遅かれ早かれ日本のような国になってしまうのでしょうね・・・。なんだか、無性にむなしいです。