徹夜本と映画で現実逃避!

現実逃避して、しばし嫌な事忘れましょ!

不真面目で真面目なハチャメチャ探検記・・・(幻獣ムベンベを追え/高野 秀行)

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アフリカのコンゴ共和国のテレ湖で目撃されると言うモケーレ・ムベンベという謎の生物を真剣にノリで探しに行ってしまった早稲田大学探検部のお話。

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結論から言うと、当然モケーレ・ムベンベを目撃することはできない訳ですが、(まぁ、そんな話聞いたこともないし、あったら歴史に残っている筈なので、ネタバレにもならないと思い、言ってしまいました。すみません・・・笑)その過程が実に面白可笑しく語られます。

恐らく、実際はもっと悲惨で、困難を極めた筈なのですが、著者が能天気過ぎるのか?自身はマラリアにも罹らずに比較的元気だったからなのか?極めて軽やかに文章を綴っています。(死にかけた隊員が少なくとも2名はいた筈なのに!笑) 

内容は強烈且つハチャメチャです・・・。実に様々な人が出てきます。荷物を運ぶすきに中身をちょろまかす現地の人々や決して直接話しをしてはいけない酋長及びそのスポークスマン。場を仕切る村長。コンゴのエリートであるドクター。それぞれが勝手なことを主張し、叫び、毎日が大混乱します。でも、なんとなく憎めない人々・・・。かと思えば、ただただモケーレ・ムベンベの出現を待ち、ひたすら湖を見つめ続ける単調な時間。

万全だった筈の機器は壊れ、食糧は底を突き、虫に刺され、病気となり、疲労ばかりが蓄積されて行きます。そんな時に唯一の楽しみは食事。チンパンジー、ゴリラ、猿、蛇、カワウソ、ワニとあらゆるゲテモノが食卓ならぬ地面に並びますが、この作品を読んでいると、自分もひもじくなって来て、その描写によって、五感が刺激され、不思議に美味しそうに感じてきてしまいます。特に、ワニを食したシーンなどは、自分も今度、どこかでワニを絶対喰おう!と思ってしまった程です。 

なかなか、今の世の中で、ここまで不真面目なノリで、真剣に大きなことをやってしまう人々はいないと思います。そもそも余裕がないですよね・・・。そういった意味では彼らの紀行ならぬ奇行は彼ら自身にとって非常に大きな意味があったのではないでしょうか? 

いい時代だったなぁ、なんて言わずに、さぁ、我々も何か大きなことをしちゃいたいですね!

あ、そういえば、解説を宮部みゆき氏が書いていらしゃいました・・・。自分は宮部氏は気難しい作家先生、作家先生している方だと勝手に想像していたのですが、意外や、意外、実は結構コマーシャル系の(御商売上手な方?)先生みたいですね・・・。