徹夜本と映画で現実逃避!

現実逃避して、しばし嫌な事忘れましょ!

奇想天外。1958年の作品とは思えない斬新さでした。まさにエンタメ界のバイブル。(甲賀忍法帖/山田 風太郎)

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これはなんと1958年の作品です。もうエンタメのバイブルと言ってもいい本です。ずっと読みたいと思っていましたが、今まで未読でした。

もう、本当にありとあらゆる(びっくりするような!)忍者が出てきます。

「忍者の術は、相手の意表を突いた場合に、一番効力を発揮する為、予め知られてはならない。よって、術を使う時は一撃必殺で相手を倒す必要がある。失敗すると、自分の術が周知されてしまい、相手はそれに備えることができるようになり、勝機(生存率)は格段に下がる。」という設定自体が、妖術?奇術?と言ってもいいような術が沢山出てくる割に、なんだが現実的で、そのギャップがまた本作品の醍醐味を増しています。 

徳川第3代将軍となる家光と忠長のお世継ぎ争いの為に、戦わされることになった、甲賀伊賀忍者。双方から選り抜きの忍者が10名づつ選ばれ、最後に残った人数が多い方を勝ちとし、甲賀が勝てば忠長が、伊賀が勝てば家光が徳川家の家督を継ぐことと定められます。積年の怨みもあり、互いに死力を尽くし、殺し合う忍者達・・・。がその中に愛し合う二人が・・・。甲賀の頭領(弾正)の孫、甲賀弦之介と伊賀の頭領(お幻)の孫、朧。弾正とお幻自身もかつては恋仲であったものの、家の定めから離別。新しい時代を目指す弦之介は朧と一緒になることで、甲賀と伊賀の諍いをなくそうと努力しますが・・・。愛し合う二人の行方は・・・。

別な見方をすると、忍者版ロミオとジュリエットと言っても過言ではない作品です。まだまだエンタメが少なかった時代に、これだけの作品を想像だけで書いてしまった、山田風太郎氏はやっぱり巨人ですね・・・。