徹夜本と映画で現実逃避!

現実逃避して、しばし嫌な事忘れましょ!

いつから日本はこんなに救いがない国になってしまったのだろうか・・・(東電OL症候群/佐野 眞一)

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1997年に円山町のボロアパートで不幸にも殺害されてしまった東京電力女性社員。超スーパーエリートでありながら、夜な夜な円山町の路上で売春をしていたことが、事件後に判り、マスコミを賑わせたのは未だ記憶に新しい。 

明らかに女性は心身を病んでいたと思われるもの、同僚、家族さえ、その事実(夜の街で客引きをしていたことを含めて)を知りながら助けることができなかった。と言うよりは、同僚は出世競争の為、家族は腫れ物に触りたく無い為、敢えて何もしなかった・・・。 

その結果、彼女は亡くなってしまった。 

あまりにも世間の関心が高く、犯人探しに焦る警視庁と東京地検。その結果、逮捕された一人のネパール人。彼は不法滞在だったことや、実際に過去に彼女を買春していたにも関わらず、面識はないと偽っていたことから、立証できる実際の証拠なし、状況証拠のみという異常な状態で裁判に掛けられ、一審では無罪となるものの、控訴審で有罪、上告も棄却され、判決(無期懲役)が確定。

その間にも、無罪判決を言い渡した裁判官が、地方に飛ばされたり、保釈を却下した裁判官が児童買春で罷免されたり、兎に角「???」という事が多々おきます。 

著者は、この事件を「ネパールとの経済と言う力関係を背景とした日本の傲慢さ、性、権力、親子・家族関係、組織vs個人」などの観点から深くえぐって行きます。

 

読了後、非常にやるせない気持ちになりました・・・。

こういう世の中だから、些細なことで道を踏み外して戻れなくなってしまうってことって、きっとありますよね・・・。純粋だったら尚更に・・・。皆、そういう自身の暗い面に時に引きずりこまれそうになりながらも、なんとか頑張って踏みとどまっているのだから、やっぱりこういう話を読むと悲しいし辛いです。 

ネパール人の方は、最後は再審が認められ、15年掛かって無罪となり冤罪が確定するのですが、なんだか最近の日本って全てにおいて救いがないですよね・・・。そのうちに、加害者は結局誰だか解らない、犠牲者ばかりがいる国になってしまう気がします。 

東電OL症候群(シンドローム) (新潮文庫)

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