徹夜本と映画で現実逃避!

現実逃避して、しばし嫌な事忘れましょ!

流されちゃいけない。絶対に嫌だけど、自分だったらできる自信はありません・・・。(不死身の特攻兵 軍神は何故上官に反抗したか/鴻上 尚史) 

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不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか (講談社現代新書)


何度も書いていますが、こういった作品を面白かったと言うのは本当に抵抗があります・・・。ただ、内容にグイグイ惹きつけられて、途中で止めるのが辛い一冊だった・・・とだけ申し上げておきます。 

本作は、所謂「神風特攻隊」のお話です。昨日、8月15日は終戦記念日(正式には「戦没者を追悼し平和を祈念する日」)でした。メディアでもいろいろと特攻隊の事を特集していたので、この悲しい歴史を多くの人が再認識した日でもあったと思います。 

神風特攻隊と云うと、なんといっても百田尚樹氏の「永遠のゼロ」が有名ですが、まさに本作は、それを地で行ったような作品です。ただし、「永遠のゼロ」はフィクション、本作は紛れもない史実、ノンフィクションです。 

前にやはり特攻隊のことを書いた作品を読みましたが、今回、特攻隊は陸軍と海軍と別々に組織されていたことを改めて知りました。有名な「ゼロ戦」は海軍、陸軍は「隼」、「97式」、「疾風」などを使っていたようです。本作は陸軍の特攻隊の話になります。 

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著者の鴻上尚史氏は、8回出撃して、8回生きて帰ってきた特攻隊員が実際にいたことを、とある本から知ります。いつか調べてみたいと興味を持ちながらも、忙しさにかまけ、何年かほったらかしに・・・。ふとした際に、あるテレビマンにその話をしたところ、なんとその特攻隊員がまだ生きていることを教えられます。本作は鴻上氏が実際にその方に会い、話をして書いた作品です。昨今、第二次世界大戦に関しては、いろいろな歴史検証から、当時の嘘に塗り固められた無能なリーダー達の化けの皮が徐々に剥がれつつありますが、それでも本作を読む程に辛い事実が浮かび上がって来ます。

海軍はきちんと特攻戦死者の記録が残されているのにも関らず、陸軍は大凡の数は判っているものの、敗戦時に焼却したのではないか?と思うほど資料が残されていないとか、海軍は特攻隊の発案者は「特攻は統率の外道」と認識していた大西中将(実際には諸説あるようですが・・・。玉音放送後に割腹自決。)とされているのに対し、陸軍は「命令ではなく、現場で自然発生的に生まれた。」と、のうのうと生き残った司令官達は戦後責任回避の為に言い続けたとか・・・。

最も、特に海軍がだからよかったと言うのではなく、たまたま海軍の大西中将が事態をきちんと把握しており、陸軍は輪を掛けて酷過ぎたと言うだけだと思います。

東京裁判を見ても陸軍の将ばかりが戦犯とされ、海軍の将は殆どいないことから、海軍の司令官達は皆自決したのかな?と自分は推察しましたが、これはまた別説があり、海軍は海軍で、早くからマッカーサー接触して、文書を偽造したりして、責任を現地の2級司令官に押しつけまくり、(したがってB級、C級戦犯は陸軍以上に多いそうです。)「開戦もしたくなかったが、陸軍に引きずられて止む無く」と言う風潮を創り上げトップを温存したとの話もあるので、やはりどっちもどっちですね・・・。  

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戦争はお国の為といいながら、結局は最後は個人のエゴに振り回され、弱者が犠牲になるだけの地獄です。そういった意味でも、こういう書籍は後世まで語り継ぐべき一冊だと思います。  

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でも、人間って思った以上に馬鹿だしなぁ。同じような過ちを再び繰り返さないことを祈るのみですね・・・。