憧れの生活!・・・・(広く弱くつながって生きる/佐々木俊尚)
うーん、こんな風に生きられたらいいなぁ、と思うものの、それにはやっぱり、それなりに努力がいる訳で・・・なかなかどうして作者のようになるのは難しい気がします。著者はフリージャーナリストの世界ではそれなりに有名な方らしいのですが、やはり若い時に仕事をし過ぎて、(新聞記者)体を壊し、復帰するも元の気持ちには戻れず、結局仕事を辞め、現在の広く弱くつながって生きる生活を最終的に手にした方です。
筆者は問います。「これだけ便利な世の中になっているのに、なにか息苦しいのは何故なのか?それは人間関係のせいではないのか?」と。
現在の氏の生活は、付き合いたい人とだけ付き合い、ヒエラルキーに虐げられることも、組織特有のマウンティングに付き合わされることもないそうです。本書はそういった生活、つまりストレスと極力無縁の生活を送る為にはどうしたらいいのか?ということを、非常に優しく、且つ易しく書いた本です。
1章はがんじがらめの人間関係が如何に人生に弊害をもたらしているか?
2章では弱いつながりをどうのように作って行くか?
3章はそれをどのように換金して行くか?
4章は多拠点生活のすすめ。
最終章はお金が沢山ある=幸せではないこと、充実感と安心感はお金では得られないことを述べられています。いい人間関係があれば、仕事は入ってくるので、「お金がなくなったら、稼げばいいか?」程度に考えられるようになれば、〆たもの!と云う訳です。
前述の通り、実際に筆者のようになるのは難しいとは思いますが、読んでいて、目から鱗の発見が多数あったのは事実です。マ-ク・グラノヴェッターの「弱い紐帯の強み」という理論(家族や親友と云った強いつながりから得る情報よりも、弱いつながりを沢山持つ方が、より多くの情報を得られる)やイギリスの「アス・アンド・ゼム」といった考え方、「正義と悪は容易に入れ替わる」とか「プライバシーを敢えて公開する」と云ったことが記載してある箇所は実に興味深く読ませて頂きました。
全部直ぐには無理ですが、少しずつ自分も挑戦して、筆者のような生活と現在の生活のいいとこ取りを是非したいと思える一冊です。(笑)