徹夜本と映画で現実逃避!

現実逃避して、しばし嫌な事忘れましょ!

主観というのはあくまで主観という事を忘れてはいけない・・・。(イノセントデイズ/早見 和真)

f:id:Frikandel:20190406220044j:plain

別に衝撃で3日間は寝込みませんでしたが(笑)、 確かにかなり「ゴーン」と来ました。

世の中救いがないというよりは如何に自分の思い込みで正義を勘違いしている人が多いか、また、自身の尺度による正義感を押し付けている人が多いか・・・。そんなことに今更ながら気づかされ、少なからずショックを受けました。

しかし、この作品が日本推理作家協会賞っていうのはちょっと違う気がします。文体のせいなのでしょうか?もっと固い文体で書けば立派な文学作品と言ってもいいと思うのですが・・・。

 

主人公は田中幸乃という30歳の女性です。その彼女が、自分をフッた元恋人のストーカーとなり、挙句の果てに、家に放火。その結果、元恋人の妻と双子の姉妹を焼死させてしまい、死刑を宣告される場面から始まります。

以降、彼女にまつわる人達の人生が次々と語られていきます。徐々に明かされる、彼女とその人達の過去のつながり・・・。

適切な言葉が見つかりませんが、因果は巡るとでもいうのでしょうか・・・。

自分は、読了後、あまりにもやるせないというか、救いのない気持ちになりましたが、この作品はハッピーエンドだという方も少なからずいるようです。

その位、考え方によって、見方が180度変わる作品です。

主観というのはあくまで主観という事を忘れてはいけませんね・・・。

自分は見ていませんでしたが、ドラマにもなっていたようです。

 

 

 

偏見に打ち勝った、インドの女性レスリング選手とその父親のお話。(ダンガル きっと、強くなる)

ダンガル きっと、つよくなる 〈オリジナル版〉(字幕版)

ダンガル きっと、つよくなる 〈オリジナル版〉(字幕版)

今度はインド映画にハマりそうです・・・(笑) 

涙、涙のとっても、良い映画でした・・・。実在する親子のお話を元にしているそうです。 

主人公は、元アマチュアレスリングの有望な選手ながら、生活の為に選手生命を諦めた父親とその娘である姉妹の3名。父は自分が諦めた夢を息子に継がすべく、子作りに励みますが、生まれてくるのは女の子ばかり。3人目が生まれた時点で、自分の夢が潰えたことを悟ります。そんな時、上の娘二人が悪口を言われたと男の子をボコボコにした事を知ります。父親は閃きます。女性にレスリングをさせてもいいのではないか?

反対する母親、馬鹿にする村の人々、偏見から練習場にも入れて貰えません。母親には1年で駄目なら諦める、村の人々の嘲笑はひたすら無視、練習場が無ければ自分で造る。そんな障害はものともせずに父親は娘二人をしごきます。一見上手く行き始めたと思いきや、今度は、しごきに堪えかねた遊び盛り、食べ盛りの娘2人が反乱を起こします。もう駄目か・・・と諦めかかるものの、娘を想う父の気持ちにふとしたことから二人は気付き、開眼。一心不乱に稽古に取り組むようになります。強くなる二人。しかしながら、腕試しに出ようとした大会では女性という事を理由に一度は断られ、結局は客寄せパンダとして出場することになります。そこで意外な善戦。馬鹿にしていた観客の目が変わって行きます。大会に出る度に強くなり、州代表に。遂にはインド代表候補となり、初めて父の下を離れ、他のコーチに着くことになるのですが・・・。 

レスリングを通して、時に激しくぶつかり合う父と娘達の成長の過程、また深い家族愛を描いた素晴らしい感動作です。 

手に汗握る展開あり、涙を誘う展開ありで、あっという間の2時間20分でした。

昆虫に興味がなくても読めます!痛快なドキュメンタリー。(バッタを倒しにアフリカへ/前野 ウルド 浩太郎)

f:id:Frikandel:20190403234716j:plain

極めてふざけた題名及び表紙の本ではありますが、中身は若干おちゃらけ感のある(ご自身を売り出すのが非常に上手な、と言う意味です。笑)昆虫学者の、至って真面目なバッタ研究記です。

著者は前野ウルド浩太郎氏。ウルドと言うミドルネームがついているからと言って、ハーフでもなく、かつ洗礼名を名乗っている訳でもなく、滞在先で尊敬する研究所の所長にその名前を貰い、それをそのまま使っているそうです。ちなみに、ウルドとは現地で最高に敬意を払われるミドルネームで〇〇の子孫と言った意味があるとのこと。

著者は定職を探す、学者一歩手前の昆虫研究家です。就職しようにも、学究の世界は非常に狭き門で、相当な実績がないと、サラリーマンのような終身雇用は望めないそうです。そこで著者は一念発起して、大好きなバッタの研究をする為にモーリタニアに自費で渡ります。モーリタニアにいるサバクトビバッタは大発生し集団になると、1日に100kmを移動し、全てを喰いつくし、農業に大打撃を与え、飢饉を招く「蝗害」というのを引き起こすのだとか・・・。まさに、地震や洪水と同じレベルの災害です。

著者はモーリタニアに2年籠り、紆余曲折を経ながらバッタの研究に没頭します。

f:id:Frikandel:20190403234448j:plain

作品の中にも記載がある通り、自然相手のフィールドワークは、実験室と異なり全く予想ができないことが多く起こります。また、言葉の問題、文化の違い、そんなことを一つずつ著者は乗り越え、笑いに変え、徐々に研究の成果を出して行きます。そしてバッタ研究の成果を引っ下げて、念願の就職となるのか・・・!? 

そんな筆者の苦労を面白おかしく書いたのが本書です。研究記と言っても研究書ではなく、どちらかというとモーリタニア生活紀行のような内容なので、難しいことは書いてありません。ただひたすらモーリタニアの実に親切な人々と共に過ごした研究者の日常を面白おかしく書いています。

特に昆虫が好きではなくても、楽しく読める、お薦めの一冊です。