徹夜本と映画で現実逃避!

現実逃避して、しばし嫌な事忘れましょ!

やっと、トム・ホランド版の良さが判りかけて来ました!(スパイダーマン/ファー・フロム・ホーム)

スパイダーマン: ファー・フロム・ホーム (字幕版)

スパイダーマン: ファー・フロム・ホーム (字幕版)

遅ればせながら、スパイダーマン・ファー・フロム・ホームを鑑賞。

アヴェンジャーズのエンドゲームを見終わってから、一息ついた感もあり、いつかは見ようと思っていたものの、直ぐみたい!という気持ちも湧かず、公開からかなり時間が経ってしまいました。

そもそも、自分はあんまり、トム・ホランド版のスパイダーマンは好きではありません。スパイディはやっぱりトビー・マグワイアが良かった・・・。勿論、初作の映像があまりにも斬新で、(今では普通になってしまいましたが、特にニューヨークの摩天楼の間を、スパイダーウェッブでスイングするシーンとか!)それに強い印象を受けたせいもありますが、トビーは、台詞がなくても、自信なさげで、何か背負っている感を醸し出していて、ずっと、これ以上のスパイディは居ないと思っていました。それに比べて、トム・ホランド版は、あまりにも頼りなさすぎるし、しゃべりすぎ。しかもメイ伯母さんが妙に若くてSEXYだし、恋人役のMJもイマイチ・・・。(個人的な好みで言わしてもらうと、いつもMJ役の女優さんはイマイチ・・・笑。もう一人の恋人役グエン・ステイシーに配役される女優さんの方が常にイケている気がします。何と言っても”アメイジングスパイダーマン”では、エマ・ストーン様ですから、相手が悪いと言えば、悪いですけど・・・。)  

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そんな背景もあり、イマイチ気が進まずに見始めました。

あ~、やっぱり・・・。なんだか新キャラのミステリオ(ジェイク・グレンホール)が爽やかすぎて、妙な浮き具合・・・。これまでのスパイダーマンの主役級は、皆揃って、かなりアクが強かったので、こういうキャラは作品をぶち壊しです。未だ世界を守る覚悟ができていないお子ちゃまピーター(スパイダーマン)を亡くなった、トニー(アイアンマン)に代わって見守るキャラとして、品行方正なミステリオを配役?。スパイダーマンも遂にB級映画の仲間入りだなぁ、と半ば諦めかけた時、「えー、えええええ!」と事件は起こりました。そういう事??こう来るのか~!!

ここから俄然盛り上がりを見せて、後は怒涛のクライマックスまで一気に行きます。(いつものアヴェンジャーズ手法に自分が引っ掛かっただけと云えばそれまでなのですが・・・。恥) 

ピーターは未だアヴェンジャーズに参加して、自己を犠牲にしてまで、悪と戦く決心ができず、なんとなく高校生活を過ごしている。学校で企画された欧州への研修旅行に参加した際に、ヴェニスで巨大な水の化け物に襲われ、スーツを持参していなかったピーターは全力で戦うこともできず、悪戦苦闘する。そんな時に、ミステリオと呼ばれる、空を飛び、緑の光を操る男に助けられ、結局、その怪物はその男に倒される。(一瞬、え、DCのグリーンランタン?と思い、パニクリましたが、当然違いました!笑)

ミステリオは異次元とはいえ地球と同じような世界から来たこと、先ほど襲って来た怪物の一体にやはり母星が襲われ、消滅したことを語り、地球も同じ運命にならないように、残り2体の排除に手を貸す旨、約束する。

一方、ピーターはミステリオが親身になって、自分の置かれている立場を理解してくれることに深く感銘。アヴェンジャーズのリーダーは自分のような未熟な人間では無く、ミステリオのような人格者ではないと駄目だと確信し、トニーから後継者として託された人工知能のイーデイスのコントローラーを渡す。

果たしてピーターはミステリオと協力して地球の滅亡を防ぐことができるのか!??

本作は、スーパーヒーローとして世界を守るという覚悟を背負うスパイダーマンの成長物語であると同時に、トニーからピーターへの世代交代、つまり次のアヴェンジャーズの始まりを予告する一本だったと思います。(ちなみに、あまりに背景が変わりすぎて、ピーターが生活費捻出の為に「デイリー・ビューグル」へスパイダーマンのスクープ写真を売りに行き、いつも社長に買い叩かれるシーンは、もう過去のものになってしまいましたが、またいつかそういう場面も見てみたいですよね・・・。)

終わってみると、トム・ホランドや、MJ、メイ伯母さんへの嫌悪感も無くなってしまうぐらい、ご機嫌な作品となっていました。今ではMJも可愛く見えます!(笑)

 最後の最後、エンドロールの後までお楽しみください! 

frikandel.hatenablog.com

 

 

単純にナポリタン喰いたい・・・(ぶらナポ/下関 マグロ)

ぶらナポ -究極のナポリタンを求めて-

ぶらナポ -究極のナポリタンを求めて-

普段はそこまで食べたくないけど、たまーに、無性に食べたくなるものってありますよね・・・。自分にとってのナポリタンはそんな食べ物の一つ。

そんなこともあって、この本を思わず手に取ってしまいました・・・。著者は下関マグロ氏。この人の事を自分は正直存じ上げなかったのですが、フェチ界ではとても有名な方のようです。

ja.wikipedia.org

著者の行動範囲と自身の行動範囲があまりに違い過ぎて、(下関マグロ氏は東京の北東方面の下町あたりが得意なようです。)自分が知っている店は一つも出ていませんでしたが、読むほどに、ナポリタンが食べたくなります。

太い、アルデンテとは無縁のブヨブヨの麺に、グチャッと一見いい加減に絡めてあるウースターソースが香るケチャップソース。ピーマンの中途半端で微妙なシャキシャキ感と玉ねぎのクタクタ感の間にあるソーセージ。思わず食べた後に手の甲で、テカテカな唇をぬぐっちゃいそうな、油のベタベタ感。あー最高、これに鉄鍋系の皿でジューなんて音を出しながら熱々でサーブされたら卒倒ものです。喰いたい!

この本には、そんな、東京の下町を中心としたナポリタンの全てがあります。ベスト23から、ちょっと気になった店、そして旨いナポリタンの作り方。最後はコンビニのナポリタンの論評までやっちまっています!

B級グルメの大将であるナポリタン。

「あのナポリタンの麺質は一回茹でて、一日寝かすことによって出ているんだ!」と云うことを知っただけでも、丸儲けの一冊でした。

あ~、今日の昼はナポリタンを求めて漂流したいと思います!

西洋コンプレックスを撥ね退ける、恐ろしいまでのウタマロ(男根)信仰エンタメ小説!!(汚れた英雄/大藪 春彦)

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と、ある本が読みたくなって、探すも既に絶版。古本市場にも殆ど無い・・・(あっても高額)で、途方に暮れていた時に、あ、そういえば図書館があるじゃん!と思って調べてみると「あった!」

図書館なんて学生以来足を踏み入れていないので、勝手が判らず、いろいろと調べてみると・・・。凄げー!

ネットで予約ができて、希望すれば、なんと通勤途中の駅にあるサービスコーナーまで、図書館から本を搬送をしてくれる神のようなサービスも!通勤前後に受領、返却ができるなんて、初めて福祉に感謝したいレベル。しかも、読みたい本が殆どある・・・。

本は、買わないと、作家さんが面白い作品を書いてくれるモチベーションがなくなっちゃう、と今まで極力購入できるものは、購入していたけど、全部ただで読めちゃう・・・(もちろん住民税は収めているけど・・・)。

これじゃ、申し訳ないけど、図書館の誘惑に負けちゃう・・・。(ごめんなさい。)

唯一の難点は、人気のある本は、皆、3か月から半年待ち。よって、予約入れておいても、受領日の調整はできず、一度にドカドカと読みたい本が来てしまう事も・・・結局、貸出期間の2週間では読みきれず、泣く泣く返却することに・・・。

で、自分が読みたかった本が何だったかというと、大藪春彦氏の「汚れた英雄」。

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ネットでなんか面白いそうな本ないかなぁ、と探していて、そういえば、これ読んでないな、と思い至った次第。映画化もされていたし、朧げだけど、主題歌が大ヒットした記憶もある・・・。後で、ローズマリー・バトラーの曲と、アメリカン・ジゴロのブロンディのコールミ-を勘違いしていたことが判ったけど・・・(笑)


「汚れた英雄」rosemary butler


Blondie – Call Me

しかも、大藪春彦氏と高木彬光氏も恥ずかしながらごっちゃになっていました・・・。(甦る金狼と白昼の死角がごっちゃごっちゃ・・・、年は取りたくないものです。)

蘇える金狼白昼の死角【DVD】

主人公の北野晶夫の父親は大学の教授であったものの、共産主義者のレッテルを貼られ、拷問により死亡。戦争で母親も失い孤児に。自転車屋を営む親戚の伯父に引き取られるが、そこで酷い扱いを受ける。しかし持ち前の美貌と度胸で伯父の娘や愚連隊の娘等を次々とたぶらかし、それを対抗手段に、時には相手を脅迫し、常に相手より優位に立つことを学んで行く。自身を守るために拳法道場に通いメキメキと腕を上げていたが、喧嘩により破門。やがて、伯父の自転車屋がオートバイの整備をするようになり、そこで2輪とその整備技術を覚える。その後、国立大学の工学部に安い学費で行かせ、あくまで晶夫を安く利用しようとする伯父と衝突、伯父を殴り、家を飛び出す。

高校卒業後、在日米軍の関係者であるアメリカ人の軽井沢の別荘で飼われている猟犬の世話係をしながら、英語、猟銃の扱い、4輪の運転を覚え、主人の妻と、そこの使用人である女中と深い関係に。主人のフェラーリーで米軍関係のアマチュアレースで優勝。2輪のレースチームでロングビーチにショップを構えるビアンキの目に留まり、ライダーとしてスカウトされ、将来の再会を約束する。その間に私大の理工学部に入学。資産家の子女から次々に言い寄られ、全員骨抜きに。肉体的な奴隷となった彼女達からの貢物(宝石やジャガーXK-SSなど)、また、世間体を心配した親から手切れ金を渡され、とても学生とは思えない生活を送る。言い寄ってきたうちの一人からの勧めで自家用飛行機操縦免許を取得。その後、正式にヴィアンキのライダーになる為、渡米。スタンフォード大学に入学する。

入国管理官の女性と懇ろになった直後に、大女優のエヴァ・ガーデンと知り合う。たちまち晶夫の虜になるエヴァ。そして結婚。しかしエヴァは嫉妬に狂った入国管理官の女性により殺され、晶夫はエヴァの莫大な全財産を相続することに。エヴァが所持していたビーチクラフトを操縦してロングビーチビアンキショップからスタンフォード大学まで通学。プロぺラ機に物足りなくなり米軍の払い下げのジェット練習機を購入、ジェット機の免許も取得。

その後、イタリアの名門チームであるアグスタに移籍。21歳で世界GP350CCクラス初出場、初優勝。パーティでリヒテンシュタインの王女イラと出会い、婚約、公爵となる。同年350CCクラスの年間王者に。正式に王女イラと結婚、日本の国籍を放棄。アグスタが金がかかりすぎるとオフィシャルチームとしてレースから撤退するが、アグスタのバイクに乗るプライベートライダーとなる。浮気していたイラに離婚訴訟をされるも、逆に彼女の浮気の証拠を突きつけ、賠償金を受けとる。直ぐに今度は500CCクラスの年間王者に。暫くして、石油王の未亡人スーザンと知り合い、結婚。薬中毒になったスーザンが殺され、再度、莫大な遺産を相続する。アグスタのプライベートライダーを辞め、やはりイタリアの名門メーカーであるモリーニに移籍、レースから手を引くことになったモリーニの後は東ドイツのMZへ移籍するも日本のホンダ、ヤマハ、スズキ等の凄まじいまでの技術革新に欧州勢が追いつけず、再びレース界に復帰したアグスタに戻る。しかしアグスタでもホンダの躍進には勝てず、そろそろ自身の2輪の時代は終わりつつあると自覚し、4輪と掛け持ちするようになる。4輪界からの強い曳きで当時フェラーリと凌ぎを削っていたフォードのドライバーを兼務。デイトナ24時間耐久レースで優勝。2輪でも盛り返したアグスタの500CCクラスで度々優勝、4輪と2輪の掛け持ちを続ける。晶夫の「俺は誰にも指図されない、当然、女にも支配されない。」という人生はこの先どうなって行くのか・・・。

全部で4巻あり、それぞれ野望編、雌伏編、黄金編、完結編と名前が付けられています。(それにしても2巻の「雌伏編」って凄いネーミングですよね・・・。これは本来の雌伏なのか?漢字の通りメスを伏せさせるのどっちなのでしょうか? 笑)4巻の前半までは、ひたすら、世界的な美女と浮名を流し、金も唸るほど持ち、何をやらせても万能、殺し屋を差し向けられても逆に返り討ちにしてしまう、身長185cm、胸囲120cmにも関わらず着痩せするという、晶夫のこれでもか、これでもかというスーパー超人ぶりが楽しめるのですが、突然、4巻の後半からは、主にレースの記録、いかに日本のメーカーが欧州のバイクメーカーを技術的に追い詰めて行ったのかということを中心に(晶夫の部分だけはフィクション、後の背景はほぼノンフィクション)物語は語られます。当時、戦争に負け、まだまだ西洋人コンプレックスに凹んでいた日本人が、晶夫と云う、日本人離れしたスーパ-ヒーローに思いを託し、西洋人を意のままに、ほしいままにするのは非常に痛快だったと思います。今ではこんな小説は考えらませんが、エンタメとしても最高、当時の2輪の歴史資料としても非常に貴重なものだと思います。

今は電子書籍の時代なので、こういった本は簡単に復刻できると思うのですが、当時は差別とされていなかったけれど、今では立派な差別表現となっている言語が結構入っていることや、超の付く男性目線、また、名前は微妙に変えていますが実際に存在する女性などがフィクションとして、好き勝手に書かれているので(例えば今は芸能界で売れっ子の〇ビ夫人?)、内容的にとても復刻盤は出せないだろうなぁ、と納得しました。(笑)

また最後に晶夫がフォードのレーサーになる下りがありますが、それはまさに、先日公開された『フォードvsフェラーリ』の背景と見事なまでに重なるので、是非この小説の内容を踏まえて見てみたいと思いました。

eiga.com

尚、ちなみに映画化された「汚れた英雄」ですが、これはこれで、バイクのカッコよさが際立つ、草刈正雄さんによる、草刈正雄さんの為の映画となっています。しかしながら、原作には足元の「あ」の字も及ばない作品になっていますので、期待は禁物です・・・。大体あの世界感は絶対映画では描けません・・・。

汚れた英雄