おもいっきり泣いてください・・・(とんび/重松 清)
うーん、これは死ぬ程泣けます・・・。
もう設定からして、涙うるうるです。自分はTVドラマ版は見ていませんでしたが、見た方は皆、毎回号泣した・・・と言っていたように記憶しています。
本作は、昔気質の男親と息子のお話です。作品自体は、奥さんの妊娠が判った時から始まっているのですが、実際の物語は、奥さんが不慮の事故で亡くなり、父子二人になってから進行します。
主人公の息子の「旭(アキラ)」は、母親亡き後も父親である主人公「ヤス」の愛情を一杯に受けて育ちます。しかしながら、そこは二親が揃っていても大変な子育て。当然の如く、上手く行かないことが度々発生します。親も子もお互いに初めての経験。子が小さな時は親は心を鬼にして必死に子を育て、今度は子が大きくなって来ると、親が子離れができなくなり、いろいろな騒動が持ち上がります。
どんな時も頑固一徹な「ヤス」。
それを、ヤスの地元の幼馴染や友人達が、ああでもない、こうでもないと本当に血を分けた家族のように暖かく見守り、二人を導きます。
子は親に育てられ、親も子に育てられる、そんなことを重松清氏が本作を通して滔々と教えてくれます。
本当に悪人がでてこない、しみじみとした素敵な作品で、読んだ後、心が洗われた気がする物語です。
是非、思いっきり泣いて下さい。