徹夜本と映画で現実逃避!

現実逃避して、しばし嫌な事忘れましょ!

政治家の決断の際の苦悩を見事に描き切った上質の作品でした・・・(ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男)

ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男 (字幕版)

政治家を主人公にした作品は、本当のところはよく判らないので、それを歴史の真実として信じてはいけないというのが自分の信条。まして戦時下の話となれば、勝てば官軍ですから・・・(笑)

チャーチルと言えば、イギリスの首相で欧州戦線で優勢であったヒトラーの脅威に最後まで屈せずに、最終的にナチスを降伏に追い込んだ人として歴史的にも有名です。

この作品は、如何にチャーチルが自身の意志を貫き、政治家として、ナチスに対して立ち回って行くのかに焦点を当てた作品で、その部分が感動的に描かれています。お話としては、面白いですし、クライマックスでは感動さえ覚える一方、戦争で失われた貴重な命や、彼の失政の部分は殆ど触れられておらず、あくまで映画用の構成になっております。(ちなみに邦題はウィンストン・チャーチルですが、原題はDarkest Hourで「もっとも苦しい時期」という意味です。)

ただし、前述の通り、チャーチルが方向性に悩みに悩んで、政治家として決断を下していくプロセスは見応えがあり、ゲイリー・オールドマンがそれを見事に演じ切っています。彼は端役としてはかなり有名ですが、(ハリポッターのシリウス・ブラックやバットマンゴードン署長)本作は主人公のチャーチル役で、見事、第90回アカデミー賞で主演男優賞を獲得しました。(チャーチルは、彼だと判らない位、見事な演技でした!)

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正に「ダンケルク」の映画がチャーチルが首相の時のお話ですので、それを見てから、本作を鑑賞すると理解度がかなり高まると思います。

ダンケルク(字幕版)

ダンケルク(字幕版)

 

 

まだ2月の初めだというのに、今年最高の1冊となるかもしれない作品に出会ってしまいました・・・。 (シャドウ・ダイバー/ロバート・カーソン)

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シャドウ・ダイバー 下―深海に眠るUボートの謎を解き明かした男たち (ハヤカワ文庫 NF 341)

早くも出会ってしまったかもしれません・・・。

まだ2月の初めだというのに、今年最高の1冊となるかもしれない作品に・・・。 

シャドウ・ダイバー (ロバート・カーソン

アメリカのニュージャージー州沖で、第二次大戦で連合国を恐怖に陥れたドイツのUボートの残骸を発見した、レック(wreck/沈没船)ダイバー達のお話です。

 主人公のジョン・チャタトンは友人がひょんな事から入手した緯度経度を元に、沈没船が存在すると思われる場所に向かいます。場所は米東海岸のニュージャージ冲約100キロ。

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海底探知機により、問題の沈没船は水深70m~80mの場所で、通常の人間では到底到達できない深度にある事が判ります。超一流のレックダイバーのチャタトンにとっても当時はほぼ限界の数値です。

80キロの装備を背負い、寒さ、視界の悪さ、狭さ、天候、一歩間違えばすぐにあちら側に行ってしまう、常に死と隣り合わせの状況で、窒素酔いと闘い、冷静さを保ちながらわずか25分間潜り、1時間の減圧をしながら、船上に戻る。船上で体内窒素を2~3時間かけて抜いて、再度潜る。コンデションが良い場合で一日最大2本。賞味50分間で必要な調査をしなければなりません。そんな過酷な状況下で、チャタトンは沈んでいる船がUボートであると確信します。彼のUボートへのアプローチは凄まじさを増します。シカゴ科学産業博物館に展示してあるUボートを実際に見に行き、内部に入るツアーに幾度なく参加し、イメトレしながら、潜る計画を頭に叩き込み始めます。

しかしながら、沈んでいるUボートから製造番号は愚か、船体番号をも見つけることができません・・・。また、米海軍、ドイツ軍の記録を幾ら辿っても、当時そこの海域で撃沈されたUボートの記録は見つかりません。手がかりとして、見つけられたのは、わずかに1942年という年号と鷲と鉤十字章がついた皿一枚、及び取っ手にホーレンブルグと彫ってあるナイフのみ。歴史はそのUボートの存在を拒絶し続けます。

不幸な事故も起き、焦燥感に苛まれるチャタトン。それを、昔は犬猿の仲であったにもかかわらず、今回のUボートの発見で一緒に潜ることになり、結果的に親友となったリッチー・コーラーが奮い立たせます。 

あまりにも手がかりが無い為、実はヒットラーが逃走用に使ったUボートでは?などという、突飛な意見も出てきますが、多大な犠牲を払いながらも最終的には彼らは目指していたものを見つけます。 

ダイビングを齧ったことのある、自分には、レベルこそ大きく異なれど、海の怖さとか、脅威が、手に取るように判り、彼らが潜る時は、自分も息苦しくなり、心拍がドンドン上がる、まさに、そんな経験をさせてくれる本当に最高の一冊でした。

本作は鉄壁の徹夜本です!

原作があまりにも、魅力的な為、幾度も映画化の話は出ているようですが、今まで実現せずに終わっているようです。

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松潤似の主人公が、極寒の原野を彷徨い、オオカミと共に力強く生き抜いて行く物語!(アルファ)

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約2万年前の地球が温暖化に向かい始める直前頃のお話です。2万年前っていつだよ?って感じですが、調度、クロマニョン人がラスコーにかの有名な必ず教科書に載っている壁画を描いていた頃でしょうか?

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まだ農耕や牧畜は始まっていないので、食べる物は命懸けで狩猟採集していた時代です。

そんな時代に、狩りに出て、経験の浅さから重傷を負い仲間とはぐれてしまう主人公。極寒の荒野を彷徨ううちに自分を襲おうとした狼とふとしたきっかけで心を通わせ、共に助け合いながら、生き抜いて行く、そんな一人と一匹を壮大なスケールの自然と共に描いたサバイバルアドベンチャー作品です。

主人公をコディ・スミット=マクフィーという俳優さんが演じているのですが、(ちょっと松潤似?笑)最初は女の子のような顔立ちで、オドオドしながら出てきます(実際最初は女性?と思いました)。それが一日一日、生き抜く度に逞しい面構えに変わって行くのを彼は見事に演じています。そんなところにも見応えがある作品です。 

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また、調度、狼が家畜化されて犬になったと言われているのが、この頃のようですので、まさにその様子を描いた作品と言ってもいいと思います。 

日本公開は未定の様ですが、これも夏休みのファミリー映画としてはいい感じの作品になると思います。