なんですか、この作品は?ファンタジー外交絵巻なんてジャンル今までありましたでしょうか??? (図書館の魔女/高田 大介)
読書家の先輩に教えて頂いたこの本を年末から年始に掛けて読んでいました。(長い!全4巻/2,000頁近いです!)
題名に魔女という単語が含まれていることや、巻頭にまず地図と登場人物一覧が記載されていることから、今流行の魔法ファンタジー?と思いきや全く毛色の異なる作品でした。
この本のジャンルは何?と聞かれると非常に説明が難しいですが、異文化国際外交小説???(笑)
巻末の解説を書いている東えりか女史の言葉をお借りすると「大スペクタクル」「外交小説」「権謀術数渦巻く陰謀小説にしてBoy Meets Girlの甘々な物語」「世界観が変わるファンタジー」。勿論これらが全てではありませんが、流石に女史、この小説の勘所を押さえています。(女史は言わずと知れたHONZの副代表です・・・)
設定は架空の国での出来事ですが、所謂、ハリポタのような魔法は全くと言っていいほど出てきません。出てくるのは、ひたすら頭脳を駆使した推理、推理、推理。常人にはその連鎖がまるで魔法のように見えることから、魔女という単語に繋がって来ています。
主な登場人物は、図書館の主である、頭の回転が異常に早いマツリカとその側近である、ハルカゼとキリン、そして謎の少年キリヒト。物語はキリヒトが図書館に働きに来るところから始まります。「図書館ってなに?」と思われるかもしれませんが、(あまり触れるとネタバレになるので、詳細は書きませんが)図書館はこの小説では極めて少数で運営されている枢密院のようなもの?とでも考えて頂ければ、イメージが湧きやすいと思います。
本作は魔女小説と云うよりは、ファンタジーぽい世界でシャーロックホームズのような少女が繰り広げる外交絵巻と云った方がピッタリですね・・・。
一旦4巻で物語は終わりますが、既に続編が出ていますので、今後読むのが楽しみな小説となりました。登場人物は非常にビジュアル的に書かれているので、近い将来マンガやアニメにもなるかもしれませんね・・・。
あ、余談ですが、自分に取って、この作品の唯一の難点は、筆者が言語学者らしいので、言語にまつわる説明は若干冗長に感じ、少し理解に苦しみました。ただし、頭脳明晰な方はその部分も含めて理詰めで200%腹落ちするので、より楽しめると思います。(将棋の本を将棋をそこまで理解しない人が読んでも、十分楽しい!とちょっと似ていますかね? 笑)
年末年始、とてもよい時間を過ごさせて頂きました!感謝!
図書館の魔女 第一巻 (講談社文庫) | ||||
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