徹夜本と映画で現実逃避!

現実逃避して、しばし嫌な事忘れましょ!

決して明るい内容ではありませんが、読了後、一筋の光が見えるような、そんな作品です。(蛇行する月/桜木 紫乃)

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桜木紫乃女史は著名な直木賞作家なので、一度読んでみたいと思っていたのですが、何故か今までチャンスがありませんでした。

この人は不器用でも一生懸命生きている女性を本当にうまく切り取る人だなぁ、という印象を受けました。本作は高校の同級生のグループを中心とした女性達の生き様を赤裸々に語っているのですが、見事なまでに表裏を描き切っていると思います。代官山蔦屋書店の文学担当の間室道子さんと言う方が解説の中で面白いことをおっしゃっています。

男性を中心にした小説は目的を同じくした時に登場人物の男性達はグループになり、友情→裏切り→和解→団結と話は進むのに対し、女性のグループ小説はぐちゃぐちゃで、陰口を言いながらも一緒にいることを望み、同じ目的に向かう時も思いはバラバラ、友情と裏切りと団結が常時混沌としている。(あくまで、こういうのが小説のネタになるという話で、現実もそうだとは自分は考えておりませんので、悪しからず・・・。)

まさに、本作はその後段的な作品だと思います。

「清美」、「桃子」、「美菜恵」、「直子」、順子はかつて道立湿原高校の図書部に所属した同級生。現在は、「清美」は酌からコンパニオンもどきまでさせられる場末の宴会ホテルの営業職。「桃子」はカーフェリーの乗務員で不倫中。「美菜恵」は学校の教師で嘗ての担任と結婚予定。順子は和菓子屋に勤務したものの、その店の女主人の夫である20歳近く年上の餡練り職人との間に不義の子ができてしまい駆け落ち。

彼女達に加え、順子の母の「静江」。駆け落ちされた女主人の「弥生」。彼女達「6名」が、それぞれ年代を追って、順子との関係を通し、各自の人生を語ります。

人生とは何なのか?男とはなんなのか?幸せとはなんなのか?

 

決して明るい内容ではありませんが、読了後、一筋の光が見えるような、そんな作品でした。

そのうち女史の代表作、「雪虫」と「ラブレス」「ホテルローヤル」あたりも読んでみたいと思います。

でも題名は何故、蛇行する川じゃないんですかね・・・?月イコール女性ってことなのでしょうか?