徹夜本と映画で現実逃避!

現実逃避して、しばし嫌な事忘れましょ!

あっという間に、億単位の金が消えていく。あなたは金融の地獄を見る。(リーマンショック・コンフィデンシャル/アンドリュー・ロス・ソーキン)

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年末から年始にかけて、暫くブログが滞ってしまった。つまらん仕事のせいもあるのだが、一因はこの本にある。

もの凄く面白い本であると同時に凄く面白くない本というのがあればまさにこの本だと思う・・・。

読むのに手間取り、何度も挫折しそうになりながら、足掛け2年、やっと読み終えた。(笑) 

本作はいわゆる2008年に投資銀行であるリーマン・ブラザーズの経営破綻から発した金融危機のことを書いたものだが、兎に角、取材範囲が凄くて、当時の様子が手に取るように判る。自身の保身の為に、会社をなんとか残そうというスノビーなエゴの塊達と、世界レベルの経済破綻を防ごうとする政府の面々の凌ぎ合いが凄く、その様子がつぶさに書かれている。

巨大というだけではなく、どんどん膨らんでいく損失。何度も匙を投げそうになる関係者達。最初は公的な介入はしないと極力距離を置いていた政府が「大き過ぎて潰せない」と遂に公的資金をつぎ込むことを決める。資本主義の原則によれば、そういった者は市場から淘汰されなければならないにも拘らず、公的資金の注入によって、仕事や巨額な退職金を保証される金融Executive達。まさに「強きを助け弱気を挫く」ように見える政策に当然議会は反対、混乱を極めていく。(ちなみに邦題はリーマンショックになっていますが、これは和製英語らしく、この「大きすぎて潰せない」“TOO BIG TO FAIL”が、この本の原題になっています。)

これを読んで思ったのは、アメリカの上位の金融機関は、兎に角金、金、金とGreedyで一見凄まじい競争はしているが、持ちつ持たれつの部分がかなりあり、一旦こういった事例が起こると連鎖反応が起きて結構弱いということ。(まぁ、多かれ少なかれ経済というのはそういうものなのかもしれませんが・・・。)また、同じプレイヤーが政府含めてグルグル回っていて、なんだか本当に一部の金融Executiveだけがその恩恵に預かっているように見えるということ。(例えば、本作の主人公の一人と言ってもよい、ヘンリー・ポールソン財務長官は元ゴールドマンサックスのCEO)

当時、あんな一般庶民を嵌めたような鼻もちならない奴らを助ける必要があるのか!と凄まじい議論が起こったのは想像に難くないが・・・。しかし、だからと言ってそれを放置しては、逆にそういった一般市民に影響を与えてしまうと信じ、何度もブレながらも踏ん張る強権なアメリカ政府。なんだか日本とは全然様子が異なるなぁ。と強く感じた次第。 

いや~、とっても面白そうじゃない?と思われるかもしれませんが、そりゃ確かに面白いです。ただし、読むのは知識がないと結構大変です。アメリカの金融は日本とは形態というか呼び方がかなり異なっているため、そういう方面の知識が薄い自分にとってはかなり理解するのに時間がかかってしまいました。

そもそも投資銀行と普通の銀行の違いは何?から始まって、なんで保険の大手や証券会社まで出てくるの?とか、連邦住宅抵当貸付公社(Freddie Mac)、連邦住宅抵当公庫Fannie Mae)って何?なんで同じようなのが二つもあるの?連邦準備制度理事会ニューヨーク連邦準備銀行連邦預金保険公社、ってあるけど、普段何をしているの?その管轄は?

それに加え、似た様な英語の名前の人がわんさか出てきて、しかも、会話のところはニックネームになったりして、都度、これ誰だっけ?と調べなくてはなりませんでした・・・。普通巻頭にそういうの付けとくだろう!!とブツブツ文句をいいながら、上巻を読み終えたのですが、なんと巻末にそれが付いていました・・・。おせーよ!!(泣) 

とそんな訳で、冒頭に「もの凄く面白い本であると同時に凄く面白くない本」と書かせて頂いた次第です。

しかしながら、金融の歴史という観点からすると、本書はとてつもなくピカイチな一冊だというのは間違いなく、数々の賞を受賞したのも理解できます。お金が好きな人は是非一読をお勧めします。 

早くもコロナウイルスで景気の雲行きが怪しくなっています。これが、新たなリセッションの入り口にならないといいですね・・・。 

 

 

正月ボケから抜け出せない時は・・・(コロンビアーナ)

コロンビアーナ (字幕版)

コロンビアーナ (字幕版)

うーん、なんだか未だに正月ボケから抜け出せません。やる気も出ないし、モチベーションも上がらず、なんといっても生活のリズムが壊れたまま・・・。9連休は素敵だったけど、自分はやっぱり典型的日本人というか、休み慣れていないと言うか・・・(涙)月曜が始まった途端、土曜日まで後何日と指折り数えています。(笑)

そんな状況なので、読書する気も起きず、なんだかNetflixAmazonプライムを惰性でぼーっと見ているだけなのですが、正直あんまり面白いのないですね~。(ただしドラマ系は見てないです、ハマッテこれ以上生活のリズムが逝っちゃうのが怖いので・・・。)

まぁ、その中でまぁまぁ見れたのをリハビリがてら少しずつ紹介して行きたいと思います!

コロンビアーナ

主演はゾーイ・サルタナ。あんまり言われないですけど、彼女はまさに自分の中ではブラック・イズ・ビューティフルの最右翼。最近でこそガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの無敵なガモーラ(アヴェンジャーズのサノスの養女)で有名ですが、なんといっても、この人の名を一番世に知らしめたのは、やっぱりアバターです。あの映画はなんだか凄い盛り上がりでしたよねぇ。歴代興行収入でも、エンドゲームが昨年公開される前はずっと1位でした。ちなみにずっと2位だったのがタイタニックですから、監督のジェームス・キャメロンは本当に巨人ですね。尤も続編はちょっと揉めているようで、公開が先延ばしになっているようですが・・・。話が横道に逸れてしまいましたが、本作は、キャメロン氏が監督では勿論無く、対ハリウッドで一人?気を吐くリュック・ベンソンが脚本・製作をしています。まぁ、相手に取って不足はありません!なんのこっちゃ・・・笑 

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アバター (吹替版)タイタニック (字幕版)

本作は、マフィアに両親を殺された少女が、その敵をとる為に殺し屋になり、その思いを成就させるだけの映画なので、正直、ゾーイ・サルタナさんの為だけに創られたような映画です。ただ、そこは「ニキーター」のリュック・ベンソン様なので、リズムよく、アクションも凄く、スマートに話は進みます。(話も少々似ていますが・・・笑)

見るのにあまり頭を使わない、アクションものって、こういう精神状態の時って、調度良い気がしますね・・・。

中々お正月ボケが醒めない方は、是非このドンパチで目を醒まして下さい!(笑)

ニキータ (字幕版)

まだ始まったばかりですが、既に今年一番の作品かも!(笑)(女神の見えざる手)

女神の見えざる手(字幕版)

女神の見えざる手(字幕版)

年末、年始は本も読まず、ひたすら、Nettflix、Amazon Prime三昧してしまいました・・・。(受動的快楽の日々?あ、でもwindows10へのアップグレードは駆け込みでやったか?笑)

多々見るも、まぁ、鑑賞して良かった!と思えるのは、本当に2~3本止まりで、「あ~、またこんな下らんの見てしまった、時間損した・・・。」と後悔ばかりだったのですが、1本、とんでもない作品と出会いました・・・。自分は全くこの作品を知らなかったし、公開当時もあまり話題にもならなかったようなので、ダウンロードをしたものの、どうにも気が進まず、そのままにしていたのですが、「まもなく制限時間?になるよー!」という警告が出たので?(Primeのリストから無くなるってことでしょうか?)「ありゃ、じゃ見なきゃ・・・。」と新幹線の中で急ぎ鑑賞した次第。(Netflixでも勿論見れます!)

 

正直、あっという間に引き込まれました。主演はジェシカ・チャステイン。非常に聡明な女性を演じることが多い女優さんで、ゼロ・ダーク・サーティでビンラーディンを追い込むマヤという女性が自分の中では非常に印象に残っていますし、至近ではX‐MENのダーク・フェニックスで地球を乗っ取ろうとした宇宙人のリーダーが記憶に新しいです。

 

frikandel.hatenablog.com

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この方は容姿も、演技も本当に存在感がある女優さんで、一度見たら忘れない感じの人なので、まさに女優になるべくして生まれて来た方なのだと思います。アダム・ドライバーの女性版みたいな感じ?もっとも、アダム氏の方が相当年下なので、ジェシカ・チャステイン氏の男性版が彼、という方が適切な表現かもしれませんが・・・。 

主人公は、アメリカのロビイストで、数々の政治キャンペーンを成功させて来た現役のレジェンド。自身が勤めている事務所に銃の規制を食い止め、銃の所持を更に拡大したいという政治家からの案件が持ち込まれます。裏には豊富な資金を持つ、銃製造会社やライフル協会などがおり、政治家の票集めには不可欠という事情が。よって、事務所も当然その仕事を請け負います。しかしながら、自身の信条と異なったのか?絶対勝てない敵を打ち負かすことにやりがいを感じたのか?主人公は公然と反旗を翻し、銃規制派の弱小事務所に移籍してしまいます。チームはそのままという条件を勝ち取っていた彼女は全員での移籍をチームに打診しますが、残ったのはわずか5名。あまりの人使いの荒さからか、最も信頼していたアシスタントにも裏切られます・・・。ここから、彼女の勝つ為には、なんでも犠牲にするという、人道的な一線さえやすやすと越えてしまう、なりふり構わない行動が輪をかけて酷くなって行きます。

まさに鬼、本当に鬼。

事務所の社長でさえ、やり過ぎだ、と彼女とぶつかり、彼女を守るはずの弁護士も、匙を投げる始末。彼女のキャリアをすべて葬り去ろうと、プライべートの暴露を含めた、あらゆる攻撃を仕掛けて来る元の事務所。そんな中、彼女は時に半狂乱になりながらも突き進みます。しかしながら、彼女の頑張りにも関わらず、遂に元の事務所、正確には彼女の元のアシスタントが、過去の彼女の不正の事実を突き止め、公聴会が開かれることに・・・。絶対絶命の彼女はどうなるのか・・・。このまま、闇の世界に潰されてしまうのか・・・。

 

アメリカはご存じの通りの銃社会。毎年のように乱射事件など痛ましい事件が起きているにも関わらず、銃規制は一向に進みません。(実際には本当に少しづつですが進んでいるような感じは自分は受けていますが・・・。)日本人には判りにくいと思いますが、歴史的や国土的な背景もあり、自衛ということに対する考え方が日本とアメリカでは全く異なります。アメリカは自身の身は自身で守る、というどちらかというとマッチョな考えの人が圧倒的に多く、それは相手が武器を持っているのに、自身が武器を持てないのはおかしいという考えにおそらく根差しています。既に世の中に銃は溢れているのだから、規制は無理、自身の身を守るのに国なんかに頼っていては馬鹿を見るといった考えなのだと思います。ちなみに、事実、全米ライフル協会は米国ではかなり力を持っている団体で、(資金的にも、協会員の数から言っても)政治に対して大きな影響力があります。協会でのスローガンはwikiによるとGuns don't kill people, people kill people.となっていましたが、過去、銃を擁護する為に、その手の発言は確かにあったものの、少なくとも、今はそんなことはスローガンには大々的には掲げていません。(よく強硬派と見做されるようですが、実際には、そこまでゴリ押しな馬鹿な組織ではなく、世の中の流れに柔軟に対応しているしたたかな組織のようです。)

そんなアメリカを背景にした本作。とにかく凄いです。(正直、少しだけ、えー???という場面がありますが、ジェシカ・チャステイン女史の凄まじいまでの演技が、そんな些末な部分を軽く打ち消してしまっているので、そこまで気になりません・・・。)間違いなく最近見た作品の中ではピカ一でした。

ちょっとシリアスな作品がご覧になりたい方は是非、是非鑑賞をお勧めいたします!見なきゃ、損!!(笑)