徹夜本と映画で現実逃避!

現実逃避して、しばし嫌な事忘れましょ!

全編書簡で構成される、一風変わった小説です。本作をミステリーと云う方もいます。(十二人の手紙/井上 ひさし)

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これもいつか読みたいなぁ、と思ってた一冊。言わずと知れた故井上ひさし氏著。

本作は少々変わっていて、全編手紙で構成されています。

基本、短編集なので、それぞれのエピソードで小さなどんでん返しが繰り返されるのですが、何話か登場人物が被っていたりして、その人達の人生が交差するところが、なんとも言えないいい味を出しています。(ちなみに、「当作は上質のミステリーである。」と云う感想を述べる方も結構いらしゃいます。)

今はメールが全てで、人と人の間の時差は殆どゼロ、必要以上にタイムリーにコミュニケーションが取れてしまう時代ですが、本作は、人と人の間に、まだ距離と場所と時間に時差の観念があって、手紙が人の心を動かしていた時のお話です。よって、なんともノスタルジックな感覚に浸れます。

氏は同時に放送作家でもあったので、最後に大掛かりなどんでん返しを自分は期待してしまったのですが、そこは少-し期待外れながら(笑)読後は実に静かな余韻が味わえました。

流石に井上ひさし氏で、全編手紙というのは当時は相当斬新なアイディアだったのではないでしょうか?

劇団ひとりの『陰日向に咲く』はこの作品ヒントにしてるんじゃないか?と密かに疑いました・・・(笑)(尚、『陰日向・・・』も決して馬鹿にできない面白さですよ・・・。)