プロチームにキャプテンシーは不在なのか?(MAKE US DREAM)
自分は名誉の為に闘う国対抗試合の場合は別として、個人がそれぞれ独立して金を稼いでいるプロチームにキャプテンシーなんて言うのは不在だとずっと思っていました。だって、ジャイアンツ(読売ね、念の為)のキャプテンが誰であろうと何も変わらないし・・・。(笑)
本ドキュメンタリーは、そんな自分の考え方を見事に覆しました。
本当に遥か昔、LIVERPOOLに夢中になっていた時期が自分にはあって、その影響か、本作を何とはなしに見てしまいました。
が!メチャクチャ素晴らしかった・・・。
当時は、ケビン・キーガンは去ったものの、その穴をケニー・ダルグリシュが埋めて、未だチームの全盛期。まさにメジャーリーグでいうヤンキースのようなチームだったと記憶しています。敢えてジャイアンツ(読売ね、念の為)のようなとは言いません。(笑)
その後、残念ながら自分の興味は徐々に薄れ、あまりサッカーを見なくなってしまったものの、LIVERPOOLに(どちらかと言うとマイケル・オーウェンの方が当初は目立っていた気がしますが、)スティーブン・ジェラードという凄い選手が出てきた!という事はなんとなく知っていました。
ただし、ジェラードは自分が想像していたよりも、もっと、もっと偉大な選手でした。彼はスピード、強さ、上手さ、全てを兼ね備えており、40年、50年に1人の逸材と言われていたそうです。しかも、LIVERPOOLのユース出身、所謂ジモッピーです。同じような境遇のオーウェンは常に故障に泣かされましたが、ジェラードはフィジカル的にも、非常に優れた才能を持っていました。
彼にはベッカムやロナウドのような私生活の派手さはありませんが、サッカーは彼ら以上に派手です。あの屈強なあたりで、あのレイザービームのようなシュート1本で相手チームは試合をひっくり返される程ガタガタに動揺します。
「もっとビッグクラブに行けば、彼は更に偉大な、それこそ世界を代表とするようなプレイヤーになっていただろう」(今でも十分ですが・・・)と言うのは、専門家の間で必ず交わされる会話ですが、彼は敢えてそれをせずにユースから26年間、そのうち12年間はキャプテンとしてLIVERPOOLに残留し続けました。
彼が作中で自ら述べているように、彼の気持ちは誰にも判りません。しかしながら、このドキュメンタリーを見て、こういう激しいプロの世界だからこそ、キャプテンシーと言うのが実は必要なんだ、ということが朧げではありますが、理解できた気がします。
彼のキャプテンシーが無ければ、あの今見ても鳥肌が立つ「イスタンブールの奇跡」は絶対に起きなかったと思います。
ジェラード以上のMr.LIVERPOOLは後にも先にも表れないでしょうね。