徹夜本と映画で現実逃避!

現実逃避して、しばし嫌な事忘れましょ!

皆、病んでいる・・・でも焦る事はないよ、と優しく語りかけてくれる作品です。(メゾン刻の湯/小野 美由紀)

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最近本当に銭湯って減ったなぁ、と思います。夏の暑い日に、銭湯に行って汗を流し、帰りにビールなんて、憧れますよね・・・。 

frikandel.hatenablog.com

本作は銭湯を舞台にした作品です。筆者の小野美由紀さんと云う方は初見ですが、なんだかとっても凄い人みたいです。エッセイストのようなのですが、学生時代に世界一周したり、クラウドファンディングで2011年の原発事故に触発されて絵本出したり(「ひかりのりゅう」)、でもメンヘルだったり、不倫相手の子供だったとカミングアウトしたり、突然サーフィンしたり。一見おしとやかそうな外見ですが、元気というか、今時の活力が躁的にパンパンに詰まった方とお見受け致しました。あまりに興味を持ってしまったので、この方の「傷口から人生。メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった。」と云う本を今もAMAZONで購入したばかりです。(笑)

湊マヒコ(男性)は、大学4年生。就活中だが、なんとなく、生活、会社、社会、どこにも馴染めなくて不安定な日々を過ごしている。そんな時に突然幼馴染の蝶子より、地図が送り付けられ、ここまで来いと言われる。特に用もないので、言ってみると、そこは全く現代とは切り離されたような、巨大な銭湯。4月から住む所も無い為、何故かそこで住み込みで働くことに・・・。銭湯を実際に切り盛りしている、なんでもできる謎の青年アキラ、幼馴染でビッチな蝶子、web系の天才ゴスピ、事故で足が不自由な美容師・龍くん、ブラック系ベンチャーに努めるパーティピープル・まっつん、銭湯のオーナーである戸塚さんとマヒコの奇妙な共同生活が始まる。

銭湯と云う極めて閉鎖的な場所に住みついている彼らは、一見普通で飄々としているように見えるけど、実は生きる事に必死にもがいていて、皆とそこで関りを持つことによって、それぞれの悩みを克服というか癒して行く。本作はそんなとっても心優しいお話です。人生そんなに急ぐことはないよ、ゆっくり、自分の居場所を探して行こうよ、というちょっとアイデンティティ模索が入った本でもありますね・・・。 

なんとなく「ほっ」としたいとか、じんわりと温かくなりたい方にはお薦めの一冊です。

あ、ちなみに、高橋留美子の「めぞん一刻」とは何の関係もありませんでした・・・。本作は漫画にもなっているようですね・・・。

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