徹夜本と映画で現実逃避!

現実逃避して、しばし嫌な事忘れましょ!

誰でも罹りうる病のようなので、自身を絶対に過信しないで下さい。(うつ病九段/先崎 学)

うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間

うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間

どうしてこの本を読みたくなったか、さっぱり判らないんだけど、何故か題名に惹かれて通読。「面白かった!」と云うと、病気で苦しんだ著者に失礼なので、「極めて興味深かった!」と言い換えておきます。(笑)

自分は、よく冗談で(多分・・・笑)「お前は最も鬱病になんかならない!」なんて何の根拠もなく言われるタイプ。でも、そういう人間に限って、そう見えるだけで、実は本人は超ビビりで落ち込みやすい。自分もまさにそんな性格。(汗)

だから、いつか鬱病になるんじゃないか・・・なんて常に心配していたりはする。それでこの本に惹かれたのかな?(笑) 

著者の先崎学氏は題名に九段と記載がある通り、羽生世代の著名な棋士。自分は読んだことはないけれど、「3月のライオン」という人気将棋漫画の監修も務めているし、(映画にもなっている!)著書も多く、エッセイストとしても、有名らしい。 

3月のライオン 1 (ジェッツコミックス)

3月のライオン 1 (ジェッツコミックス)

 

3月のライオン[前編]3月のライオン[後編]

対局、解説、エッセイ、漫画、映画の監修で日々の睡眠時間は2-3時間。そんな大忙しの日々に、突然、鬱が先崎氏を襲う。自身も、何かおかしい、おかしいと思いながらもなんとか生活を続けていたところ、奥様が異変に気付き、精神科医をやっている先崎氏の兄に連絡。「そんなのは少し休めば治る!」といつもは全く取り合わない彼も、この時だけは、顔をみたとたん、直ぐに病院に行くように指示、鬱病と診断される。 

非常にびっくりしたが、罹患したにも関わらず、ご本人はかなり当時のことを覚えている・・・。お兄さんの精神科医も作中で言っていたが、「鬱病の人が自身のことを記した記録は殆どない。」とのことなので、記憶していると云うことは、先崎氏の将棋指しとしての明晰な頭脳によるところが大きいのかもしれない。 

筆者自身は猛反対したものの、兄の勧めでとりあえず入院をすることに。これは後で語られるが、鬱の重症期(初期)はとにかく自殺傾向が強く危険なので、そういった気持ちが抑えられるようになるまでは管理された方がいいとの配慮からだったそうです。事実、筆者は、毎日何十回とホームから電車に飛び込むイメージに悩まされ、解決策として電車が出発する時刻の寸前にホームに出れば、飛び込みようがない。と考え、その行動を取ることで、なんとか危機を脱します。ただし、本当に重篤な時は悩むこともできない状態になってしまうそうなので、まだ筆者は運が良かったのかもしれません・・・。 

周りのサポートもあり、退院後徐々に筆者は回復して行きます。エッチなビデオが見たくなったり、涙が出てきたり、全く読めなかった新聞や本、理解できなかったTVが徐々に理解できるようになったり、詰将棋の解け具合などで回復を自覚していきます。 

自分は「鬱病は心の病気」だと思っていたのだけれど、実は脳の病気ということを、この本を読んで初めて知りました。また、鬱病はよく「励ましてはいけない」と言われますが、筆者はそこらへんはあまり感じなかったようで、「やっぱり〇〇さんじゃないと駄目ですよ。待ってます!」というような、自身に存在価値があると思わせることを言われるのが一番嬉しかったと述べていました。

この本を読んで、心強かったのは、未だ鬱病という病には残念ながら偏見はあるけれど、休めば必ず治る病気なんだ!という事です。これで、少し自分の心配も軽減されました。(笑)

なってしまってから、直すのとはとても大変そうなので、やっぱりならないように予防するのが一番。皆さん、苦しくなったら、さっさと、いろいろサボりましょう!(命までは取られないだろうし・・・。取られるようなことなら、即逃げましょう!)

必ず、何とかなる!←と、これは自分にも言い聞かせています。(泣)

予防という観点からも、読んでおいて損はない一冊だと思います。

ちなみに、本作品は、漫画にもなっているようです。

うつ病九段 (文春e-book)

うつ病九段 (文春e-book)